ドリブルが、ドライブが上手くなりたい。

シュートが上手くなりたい。

パスが上手くなりたい。

 

そう考えて自分に足りないスキル、伸ばしたいスキルを個別に練習する。

 

ドリブルドリルだったり、シューティング・シュートドリルだったり、対面パスだったり、スクエアパスだったり。

 

しかし、それらのバスケの一部分を切り取って分解した練習をして後から貼り合わせてもそれはバスケットボールになることは少ない。試合で生きることは少ない。

 

この練習メニューを反復すれば上手くなれる、このテクニックを使えば上手くなれるとバスケを細分化してそのときの身体の使い方、コツと呼ばれるもの、AのときはBというパターン・型などの構成要素を理解・実践すればバスケットボール全体を理解できると考えてしまう。

 

分解して言語化すればバスケの全てを理解できると考え、テクニックを磨けば上手くなれる、ドリブルを伸ばせば上手くなれる、パターンや戦術を覚えれば上手くなれるといった○○すれば××になる、1+1=2のような誰にでも分かりやすい単純化された公式で表そうとする。

 

しかし、これはとんでもない勘違い。

 

例えば生きた魚を解剖して臓器や体内の成分などを詳細に調べる。

確かに魚を構成している要素は分かるかもしれませんが、解剖でバラバラにしたものを後から丁寧に貼り付けたとしても、それは魚の形をした別の何かで二度と元気に泳ぎ回ることはありません。

 

それと同じでバスケを分解して練習して、それを後から張り合わせたとしてもそれは生きたバスケットボールではない、「バスケットボールの形をした別の何か」になってしまうのです。

 

 

バスケットボールはカオスかつフラクタルである。

 

バスケの試合では自分のレベル、敵のレベル、チームメイトの動き、ディフェンスの反応、選手・チームの個性や強み・弱み・相性、点差、残り時間などの様々な要素が絡み合い、相互に作用する複雑な現象であるため次の展開をあらかじめ予測することはできません。

 

ドライブを仕掛けても抜けるかもしれないし、抜けないかもしれない。

ヘルプがカバーに寄ってくるかもしれないし、来ないかもしれない。

フリーの味方にパスしてもシュートが決まらないかもしれない。

スペースが狭くても突っ込んでいったほうがファウルを貰えるかもしれない。

 

そのため、バスケを分解して個別にその能力を上げようとしても実際の試合では使えない、生かされないということが起こる。

 

練習してきたドリブルテクニックを使ってもディフェンスが反応してくる。

シューティングをたくさんやったけど、試合になるとそもそもボールを貰えない。

パス練習をたくさんやったけど、試合でどこにパスを出せばいいのか分からない。

 

あなたはそんな状態になっていませんか?

 

バスケットボールを分解、細分化して分かりやすくしてもそれはバスケットボール全体を理解したことにならない。

 

なぜなら、バスケットボールは無秩序で混沌としていて予測不可能=カオスだから。

 

 

もう1つのフラクタルについてですが、これは部分と全体が自己相似(再帰)になっているということ。

地図上のリアス海岸線の形などのように一部分を拡大すると全体の形と似た形になる性質を持っています。

 

「フラクタル」と画像検索すると色んな図形が出てきますが、一部分の形と全体の形が似ていることが分かる。

 

バスケ全体で必要な能力を考えたとき、駆け引き、判断力、身体能力、視野の広さ、スキルの精度、プレーの繋がり・連続性、攻守の切り替えなどが考えられますが、バスケの試合の一部分を切り取ったときに、その切り取った部分が「駆け引きだけ」だったり、「身体能力だけ」だったり、「スキルの精度だけ」であることはありません。

 

バスケの試合ではシュート、ドリブル、パス、スクリーン、ディフェンス、リバウンド、カッティングなどの様々なプレーがありますよね?

 

例えばシュートを打つときに何が必要なのかというとディフェンスの間合いやプレッシャーをかわす駆け引き、フロアの状況から自分がシュートを打つという判断、そのシュートを決めきる技術、動きの中でシュートを打つための身体能力などが挙げられます。

 

パスを出すときもフリーを見つける視野、ディフェンスにパスコース読ませない駆け引き、わずかなスペースにパスを通す技術、それを実行できるだけの身体能力などが必要です。

 

どんなプレーであっても次のプレーへの繋がり・連続性がありますし、攻守の切り替えは連続していて、それがいつ・どこで変わるのかは分からない。

 

つまり試合のプレーのどの部分を切り取っても、そこには駆け引きや判断、視野の広さ・コートビジョン、スキルを駆使するための体力や身体能力、プレーの繋がり・連続性、攻守の切り替えといったバスケ全体の本質となる要素が含まれています。

 

試合全体に存在している要素は試合の細部にも存在している。

これがバスケはフラクタルであるということ。

 

 

バスケはバスケをすることによって上手くなる

 

最初に書いたバスケを分解した練習の数々。

 

これらはカオスであると言えるでしょうか?フラクタルであると言えるでしょうか?

 

バスケが上手い、上手くなるということは様々な要素が相互作用して予測不可能な目の前のコートの状況に対応する、反応してプレーを創造できるようになることです。

バスケットボール全体が持つ本質となる要素を磨き、それらの能力を向上させることです。

 

 

分解練習にはバスケが内包している構成要素間の複雑な相互作用・予測不可能性、駆け引き、判断、身体能力、チームメイトとの合わせ、ディフェンスの存在、プレーの連続性、攻守の切り替えといったものは含まれていません。

 

バスケに必要なドリブル、シュート、パス、身体能力といったものを1つ1つ切り離して、

それぞれを1つずつ練習して後から引っ付ければ上達する・強くなるという考え方です。

 

しかし、もともと1つであったものを切り離してから後からくっつけてもそれは全くの別物にしかならない。

 

世界トップの選手は試合で上手くなってきた。

試合の中でスキル、個性、創造性を徹底的に磨いてきた。

 

様々なレベル、違うタイプ、年上や大人と一緒にプレーすることで対応力、応用力、強い選手相手にどうプレーするかを学んできた。

 

だから、練習では上手いけど試合は下手、ドリブルは上手いけどバスケットボールは下手ということが起きない。

試合で上手くなっているから、バスケが上手くなってドリブルも上手くなった、バスケが上手くなってパスも上手くなったというプロセス。

 

分解練習では部分は上手くなった、練習は向上したけど全体を理解できない、試合は下手ということが起こる。

 

 

試合の繰り返しでは全体が理解できるようになった、試合でのプレーが向上した結果、併せてシュートやドリブル、パス、オフボールの動きなどの各スキルの能力も向上する。

これがバスケットボールの上手くなるプロセス。

 

バスケは試合、ゲーム経験の繰り返しによって上手くなるのです。

バスケはバスケをすることによって上手くなるのです。

 

You know how we got better as kids? We played against older kids because we knew if we lost, we had to wait a long-ass time before we got back on the court…That was our motivation. That pushed us. That’s how we got better.
俺たちが子供の頃、どうやって上手くなったと思う?年上の子供達を相手にしてたんだ。負ければ、また長い時間待たなければいけない(ピックアップゲームは勝ち残りが原則)。それがモチベーションだったんだ。それに後押しされて、上手くなったんだ。

LeBron James AAU/ユーススポーツへの警報 by LeBron James|TMG athletics x Long Term Athlete Development

 

僕の原点はフットサルに始まり、裸足でプレーするストリートサッカー。

これが今のプレースタイルにつながっている。

ネイマール

 

 

欧州を見渡して、ストライカーたちはどこから来ている?

その多く、少なくとも8割が南米からだ。

サッカーがより形式的になると、個のスキルや戦う姿勢が伸びなくなるんだよ。

我々は少しそれを失った。

おそらく、欧州でストリートサッカーがなくなったことによるのだろう。

30、40年前のイングランドはもっと生活が大変だった。

アーセン・ヴェンゲル

 

将来、もしブラジルからストリートサッカーがなくなるようなことが起こったら、

ブラジルのサッカーは終わるだろう。

ジョアン・サルダーニャ(サッカー 元ブラジル代表監督)