バスケットボールは並べられたコーンをどれだけ速くスムーズに突破するかを競うスポーツじゃない。

 

コーンを並べてその間をドリブルで切り返す。

クロスオーバー、レッグスルー、ビハインドバック、それらを組み合わせたドリブルコンボ。

だんだん動きがスムーズに、速くなってくる。

色んなドリブルを組み合わせて突けるようになり、上手くなったと感じる。

 

しかし、その練習で本当にドリブルが上手くなったのだろうか?

 

ディフェンスもいない、チームメイトもいない、点差や残り時間を考える必要もない安全な状態では色んなドリブルを突けるけど、いざ試合になると敵を抜けない、ボールを取られる。

 

なぜか?

 

それはコーンドリブルは実際の試合とはかけ離れているから。

試合でのドリブルに必要な能力が全く身に付かないから。

 

コーンはあなたのドリブルに対して手を出してこない、間合いを変えてこない、コースに入ってこない。

コーンドリブルでは味方のポジションやスペースを感じることも必要ない。

 

しかし、実際の試合で必要とされるのはディフェンスのプレッシャーがある状態で相手を抜く、ボールを取られないことが求められるし、味方のポジション、スペースの有無、ヘルプディフェンスの位置などを感じてドリブル以外のプレーも判断する必要がある。

 

ドリブルの本質もやはり、駆け引きと判断。

ディフェンスとチームメイトがいる状態でドリブルをいつ、どこで、どう使うか?が重要であり、コーンを相手にどれだけバリエーション豊かなドリブルをスムーズにつけたとしても試合で通用するドリブルにはならない。

 

コーン相手だとドリブルが突けても、人間が相手になるとボールを取られる・抜けない。

一人だと色んなドリブルが突けるけど味方がいると無駄なドリブルが多い。

 

なぜ、ドリブル練習をするのか?

それは試合でドリブルのミスをなくしたり、敵を抜けるようになるためですよね?

 

コーンを上手く、素早くかわせる。色んなドリブルをスムーズに突ける。

=ドリブルが上手い。=試合でドリブルを効果的に使える、バスケが上手い。

 

この公式は本当に正しいだろうか?

練習から試合に移行したとき、本当に練習でやったことが試合に生きていると言えるだろうか?

 

私はそうはならなかった。

 

たくさんドリブル練習をした。

テクニックを勉強したり、AND1などのストリートボールの映像を見てドリブルをひたすら反復した。

しかし、いざ試合になるとボールを取られる、ドライブは止められる、ドリブルし過ぎと怒られる。

 

一方で上手い選手はそこまでドリブルにバリエーションがあるわけじゃない。

練習のときはむしろ自分のほうが色んなテクニックを知ってる、できると思った。

けど、試合になると私とは違ってボールを取られないし、ズバズバ抜いていくし、最適なタイミングでドリブルを使う。

 

で、その上手い選手たちがコーンドリブルをしているところは見たことがなかったし、実際のプレーを見てもコーンドリブルで出てくるような連続で切り返す動きを試合で使っているシーンはほとんどなかった。

 

コーンドリブルは状況判断、タイミングといったものよりも孤立したテクニック・動きがベースになる。

だから練習では上手そうに見えても試合になると固まって何もできない選手を作り出してしまいやすい。

1対0ではスムーズにドリブルができても、5対5の中だとドリブルができない・無駄なドリブルを突きすぎる。

 

 

試合になるとディフェンスの手が出てくる、コースに入って身体を当ててくる、ヘルプディフェンスが出てくる。

チームメイトがカッティングやスクリーン、スペースを使ってフリーになろうとしている。

その中でボールを持っているならまずはシュート、パス、ドリブルのどれを使うか判断しなければならない。

 

ドリブルするならボールをキープしてパスまでのタメを作るのか、角度を変えてパスコースを作るために移動するのか、ドライブするのか、ドライブした後にパスを捌くのか自分でフィニッシュするのか、スピードを上げるのか・緩めるのか、ストップするのか、下がるのか。

 

ドリブルの本質は駆け引き、判断であり、言い換えるなら意思決定である。

敵と味方の動きを感じていつ、どこで、どのようにドリブルを使うかを決断する必要がある。

 

「日本人はプレッシャーがかかっていなければ世界で一番うまいかもしれない」

アーセン・ベンゲル

 

たくさんのドリブルテクニックをコーン相手に完璧にできるようになるよりも、意思決定の力を伸ばす・磨く練習をしたほうがドリブルは遥かに上手くなります。

 

マイケルジョーダンやスティーブナッシュのドリブルはシンプルでした。

彼らがリーグで誰よりも優れたテクニックを持っていたか?誰よりも速く動けたか?というとそうじゃない。

もちろん、彼らが最もコーン相手に上手くドリブルできたなんてことはない。

 

彼らが優れていたのはディフェンスの動きや味方の動きからいつ、どこで、どのドリブルを突くか?

駆け引き・判断という意思決定の部分が誰よりも優れていた。

だからフェイントを使わず、真っすぐ進むだけで、単純に方向を一回切り替えるだけでディフェンスを抜いていたし、派手なテクニックを使わずともボールをキープできた、ドリブルからシュート・パスに繋げる判断も抜群に優れていた。

 

youtubeには子どもたちが実際の試合では滅多に使わないであろうドリブルコンボを使ってコーンの間を何度も切り返して進む動画がたくさん上がっている。

子どもたちはドリブルテクニックの引き出しが増えて喜んでいるかもしれない。

しかし、それは本当に試合で役に立つドリブルスキルなのでしょうか?

 

できるようになった動きが増えただけで、ドリブルをプレーで生かし切るために必要なディフェンスに対する読み、味方との連携、シュート・パスへの切り替え・判断などの力は身に付いたのでしょうか?

 

ドリブルが上手い子は全員、コーンドリブルを必死にやったのでしょうか?

コーンドリブルをあまりやらない選手のほうが必死にドリブルを練習している選手よりも試合で効果的なドリブルを突けているのはなぜなのでしょうか?

 

 

サーフィンが上手くなるためには実際に海に行って波に乗らなければいけない。

いくら地上で波をイメージしてサーフボードの上で身体を動かしても波に乗る力は身に付かない。

コーンドリブルは陸上でサーフィンしているのと同じ。

最終的に試合でドリブルを突かなければ、試合で通用するドリブルは身に付かない。

 

 

過剰なドリブルテクニックを身につける必要もない。

駆け引きと判断が高いレベルで出来れば、数回のドリブルでディフェンスを抜ける。

 

ディフェンスのレベルが高くなるほど、複雑なドリブルはリスクになる。

ボールを取られるリスクも上がるし、味方のフリーができる一瞬のチャンスを無駄なドリブルで潰してしまう。

 

ボールを見ながらじゃないとドリブルできない状態ならいくらかドリル練習も役に立つかもしれない。

けど、ある程度ドリブルが突けるようになったら試合の中でドリブルを突くだけで十分だ。

私が見てきた上手い選手のほとんどは試合中に複雑な、曲芸のようなドリブルを何回も突かない。

 

コーンを何個も並べて、その間を何回もドリブルで切り返す。

その動きは試合に一体、何回登場するだろうか?そのドリブルが味方のオフェンスを潰してないだろうか?

 

テクニックだけ、動きだけを反復してもドリブルは上手くならない。

 

駆け引き、判断、認知、意思決定・決断とセットでドリブルするから上手くなる。

その経験量を増やすことが試合で通用するドリブルを身につけるたった1つの方法だ。