一ノ瀬さん。いつもブログ楽しみにしています。
私は高校男子の外部コーチをしています。
チームのレベルは地区予選で敗退し、県大会にも出れないような弱小です。
今、部員が8人程で5対5もできません。
私達のチームに限ったことではないですが、
弱小のチーム内の試合で切磋琢磨しても公式戦では通用しません。
多くのチームが走るメニューを増やす(私も)などして負荷を与えていますが、
相手よりも走れた場合にしか通用しません。
生徒にはやる気があり、是非力になりたいです。
魔法があるとは思っていないですが、私達の人数、レベルでどうしたらうまくなれるでしょうか?
微かな道筋でも是非アドバイスください。
よろしくお願いします。
ブログを楽しみにしていただき、ありがとうございます。
そう言っていただけると本当に励みになります。
外部コーチをやってらっしゃるのですね。
指導というのは本当に難しいものだと思います。
選手を育てる、成長させるというのは簡単ではありませんから。
僕はコーチをしたことがありませんが、
これまで選手としてバスケをやってきた中で培ってきた
どんな練習をすれば本当の意味でバスケが上手くなるのか?
チームが強くなるのか?
これらのテーマについて僕なりの考えを提示しつつ、
○○さんの疑問に回答したいと思います。
まず、
選手の力を伸ばし、チームを強くする。
そのために大切な道筋となることが
・駆け引き・判断力が身に付く練習をすること
・身体能力、身体のレベルを上げること
この2つになります。
ブログでも口を酸っぱくして、何度も書いてますが
実際のバスケでは常に相手がいて、その相手との駆け引きに勝つこと。
いつ、どこで、何のプレーをするか・どんな動きをするかを判断できること。
駆け引きと判断が上手い選手=バスケが上手い選手です。
上手い選手は駆け引きができるから、相手のプレッシャーがある中でもしっかりプレーできる。
判断力があるから効果的なプレーをすることができる、ミスもしにくくなる。
駆け引きと判断力こそがバスケをするうえで幹となる、土台となる力。
だから下手な選手、弱いチームが上手い選手、強い選手に勝つために必要になるのが
駆け引きの力と判断力の差を埋めていくことです。
相手がいない練習とか、次に何がすればいいかが分かり切っている
パターン化されたドリル的な練習。
こういった練習をなるべくしないこと。
相手がいて駆け引きしないといけない練習、
次に何をすればいいかを瞬間的に判断しなければいけない練習。
こういった練習のみに集中して取り組むこと。
で、一番いいのはひたすら試合を繰り返すことです。
試合の中でこそ一番駆け引きや判断力といった本質となる力が磨かれるからです。
○○さんのチームは部員が8人しかいなくて、5対5ができないとのことですので、
4対4をメインにしてやることになるでしょう。
試合を繰り返す中で選手たちの駆け引きや判断力が磨かれて行きます。
駆け引きや判断力を磨くから、試合で使える生きたテクニックが身につきます。
日本の部活ではほとんどのチームが同じようなメニューをやっています。
フットワーク、スリーメン、シュートドリル、約束事を決めての4対4など。
似たような練習メニューをやっているんだから、成長するスピードに差はあまり生まれませんよね。
結局、元から上手い選手が集まっているチームが強い。
上手い選手がいないチームは強くなることができない。
だから他と違うことをする。
本当にバスケが上手くなる、選手の力が伸びる練習に集中して取り組む。
他のチームが駆け引きとか判断力が身につかない練習を延々している間。
自分のチームは駆け引きや判断力が身に付く、上達にダイレクトにつながる練習に集中して取り組む。
そこに成長スピードの大きな差が生まれる。
○○さんは
「多くのチームが走るメニューを増やす(私も)などして負荷を与えていますが、
相手よりも走れた場合にしか通用しません」
とおっしゃっていますがこのような考えができるのは素晴らしいことです。
多くの指導者がこういった現状をそのまま受け入れ、
他のチームと同じようなことしかしません。
自分の頭で考えることをしません。
チームを強くする、上手いチームに勝つために
何が正しくて、何が間違っているのか?
バスケで言われている常識は本当に正しいのか?
こういった思考をぜひ、これからも持ち続けてください。
そして、可能であれば練習試合を多く組むようにしてください。
○○さんが言われているようにチーム内だけの試合だと伸びません。
自分たちよりレベルの高いチームと対戦することで
上手い選手がどうやってプレーしているのか?
自分たちができてなくて、強いチームができていることは何なのか?
こういったことを体感することができます。
僕の知り合いの上手い選手たち(県ベスト4、8、地区の選抜選手)も言ってたんですが
彼らは強い学校のチームと数えきれないくらい試合をやっています。
そういうレベルの高いチーム同士で試合を繰り返してたら、そりゃ強くなるわって思いました。
僕自信の経験でも高校のときは社会人のチームの練習によく行っていました。
当然、ボコボコにされます。
そこで上手い選手相手に勝つためにはどうプレーすればいいか?っていうのを体で覚えて。
部活でしかやってないチームメイトよりも速く上手くなることができたので。
なるべく色んなチームと試合を組むというのは大事です。
他のチームと試合することで得られる経験値はどんな練習よりもデカいですからね。
まとめると
- 駆け引きと判断力がバスケの本質となる力で、下手な選手と上手い選手の差になっている。
- 試合を繰り返すことが最も上達につながる。
- 他のチームとは違うことをして成長スピードに差をつける。
- 色んなチームと試合を組む。
これがチームを強くするために大事なことだと僕は思います。
前回の内容の続きです。
駆け引き・判断力と並ぶバスケが上手くなるための大事な要素。
身体能力、身体のレベルといったことですね。
NBAを見ると分かりますが、彼らの身体能力ってえげつないですよね。
日本のバスケにおいてもやっぱ上手い選手は身体能力が高いです。
上手い選手は動きが速いし、キレがあるし、跳びます。
身体能力があるからこそ、スキル・テクニックが一層生きてきます。
ではその身体能力を上げるために何をすればいいか?
僕が行き着いた答えが黒人の体型に近づくということでした。
いくら闇雲に走りこんだり、筋トレをしても
思うように身体能力が上がらなかった僕は
黒人と日本人、身体能力が高い選手と低い選手の差を決める要因は何なのかを考え、
骨格・体型にカギがあることが分かりました。
背中とお尻が盛り上がっている。
体幹は太くて、末端は細い。
背骨のS字カーブが効いている。
そういった体型に近づくことが身体能力を上げることにつながる。
そのトレーニングとして見つけたのがインターロックとダンスになります。
インターロックとダンスについてはブログに書いてあるので読んでいただければと思います。
上手い選手は身体能力が高いですが、それはトレーニングや走り込みの効果だけじゃなく
骨格・体型が運動に適しているからというほうが大きいです。
僕もこのインターロックとダンスに取り組んでから、
体のキレ・スピード・ジャンプ力・ボディバランスがかなり向上して
バスケのプレーのレベルも上がりました。
このトレーニングは特殊と言えば、特殊なので
受け入れてもらえるかは分かりませんけど。
インターロックとダンスやったらバスケ上手くなるよ、
身体能力上がるよって言われても素直に実践できるかってなったら微妙なところもあります。
周りの目とかがあるし、いきなり踊れとか言われても恥ずかしくてできないって人もいるでしょう。
ただ、効果は保証しますし、上手い選手との差を埋めるための大きな武器になります。
下手な選手というのはその身体能力がプレーのレベルが上がらない原因の1つになっていますから。
遅いから相手を振り切れない。
跳べないからブロックされやすい。
ボディバランスが悪いから、少し当たられると体勢が大きく崩れてしまう。
バスケでは身体能力の差はプレーのレベル・精度を大きく左右します。
そしてその差は走り込みや筋トレでは埋めることができない、
体型・骨格の差が大きな要因になっている。
多くのチームは走り込みや筋トレを必死にさせて脚力・筋力といったアプローチでしか
選手の能力を上げようとしていません。
骨格・体型にアプローチすることでより効果的に選手の身体能力を上げ、
バスケでのプレーを上げることができます。
下手な選手、弱いチームが上手い選手、強いチームに勝つ。
そのためには何が差になっているのかを自分の頭で考えて、
その差を埋めるための最適な方法を導くこと。
周りとは違うことをやって成長するスピードに差をつけること。
この2つが大事な考え方になってきます。
そして選手の個の力を上げるという意味で
僕が現時点で最短距離だと考えているのが
バスケが上手くなる本質的な力である
駆け引き・判断力と身体能力を上げることです。
ここを集中的に強化することで選手の成長スピードはかなり上がると思いますので
是非取り入れてみてください。
これまでの内容では、主に選手の個人技を高めるための話でした。
でも、バスケはチーム力も大事ですよね。
いくら個人技があってもバラバラなプレーをしていては勝てません。
チーム力を上げるためにコーチはどのような考え方を持つべきなのか。
僕が考えるコーチの在り方をもとに、○○さんのチームが
強くなるための方法を書いていきたいと思います。
1.選手の長所を潰さない
多くのコーチがやってしまうことが選手の長所を潰してしまうことです。
自分の頭の中の理想のバスケの型に選手をはめ込もうとする。
- お前はシュートよりもパスに専念しろ。
- リバウンドをとることがお前の仕事だ。
- ここに動け、そこに動け。
そうやって指示を出しまくって、選手に自分の理想通りの動きを強制する。
これでは選手は育ちません。
自分の感覚でプレーすることができなくなる。
相手に合わせてプレーするのではなく、指示通りのプレーをすることに集中してしまう。
その指示されたことが通用しない場合、自分でプレーをクリエイトすることができなくなる。
選手たちも指示に従うだけのバスケなんて
面白くないのでバスケをするのが苦しくなってしまいます。
チーム力を上げるためには、それぞれの選手に
自分がやりたいプレー、得意なプレーをしっかりさせてあげること。
選手の長所、個性を大切にすることで選手の力は
最大限発揮され、上手くなっていきます。
やっている選手たちも自分がやりたいプレーができるから楽しいでしょうし。
だからコーチは選手をしっかり観察する。
- どんなプレーが得意か
- それぞれの選手の長所を上手く合わせるためにはどうすればいいのか
そういった、それぞれの選手の長所を最大限生かせるような
バスケの形を作っていくべきです。
NBAを見てもチームによって攻め方が違うように、
チームの数だけそのチームだけのバスケの形があります。
ここを理解していない指導者は、選手の伸びしろを
潰しまくるクソみたいな指導者でしかありません。
日本の指導者はそういう人のほうが多いと感じますけどね。
全ての選手がやりたいようにやってしまうと組織でのプレーができなくなる。
そのような疑問が生まれるかもしれません。
しかし個人技とチームプレーは相反するものじゃなく、
むしろ互いに高め合うものです。
例えばドリブルが得意な選手がいたとしても、
ボールを持ったら全部ドリブルを仕掛けるような選手はいないと思います。
そんなことをしていれば確実にチームは負けるし、
相手に止められまくって終わりだからです。
選手である以上、勝ちたくない、自分さえよければそれでいいなんて選手はいません。
変にプレーを縛らず、選手に持っている力を出し切らせれば
自然と個人技とチームプレーは結びついてきます。
上手い選手が一緒にプレーすると、自然と良いチームプレー、パス回しが生まれますよね。
そんなイメージをもっていただければと思います。
2.誰の真似もしない
2つ目に大事なのが誰の真似もしないということです。
誰かの真似、本に書いてあった戦術をそのままチームに当てはめる。
これは危ない。
目の前の選手を無視しても絶対にチーム力が上がることはありません。
だから選手を指導するうえで大事なのは
選手たちのプレーをよく観察して、選手たちの間で自然と生まれてくる
コンビネーション・チームプレーを軸にしたスタイルのバスケを作っていくことです。
もちろんNBAのフォーメーションだったり、本に書いてある
戦術を学ぶことを全て否定はしません。
頭の中の引き出しが増えるので。
でも大事なのはそれが自分のチームに本当に合っているものかよく吟味して、
それを自分のチームにフィットするようにカスタマイズすることです。
最初はそうやってもいいかもしれませんが、最終的には○○さんが
自分の頭でチームのスタイルを考え、オリジナルのものを作り出してください。
自分のチームに合っているスタイルというのは他のだれからも教わることができません。
「魔法があるとは思っていない」
「走る量で勝負しても意味がない」
こういった考え方をされている時点で、良いセンスをお持ちです。
ぜひ自分の考え方、選手たちを見て感じたこと。
こういったあなたの目や身体で感じられることを一番大事にしてみてください。
以上でこのたびの回答は終わりです。
チームを強くするために本当に大事なのは何なのか。
今まで得てきた知識や、経験をもとに僕なりの視点で回答させていただきました。
少しでも○○さんがコーチをする上でのヒントになれば幸いです。
分からないこと、もっと詳しく聞きたいことがあればいつでも気軽に聞いてください。
P.S.
僕がこれまで読んできた、指導や育成について書かれている本やサイトを紹介しておきます。
どれも有益な情報が書かれていてかなり参考になると思います。
バルセロナの哲学はフットボールの真理である。
超「個」の教科書。
大人になってから学ぶサッカーの本質とは。
http://keikun028.hatenadiary.jp/
勝利への提言。
http://proposal-victory.cocolog-nifty.com/blog/