一ノ瀬さん。回答ありがとうございます。

 

一つ一つの言葉が心に響きました。

今日は久しぶりに引退した高3との試合をしましたが、

新チームの現役はなかなか良いプレーができていませんでした。

 

私としては個人技を鍛える為に21という1対2、1対3の練習を提案し始めたところ、

1対1に臆することないプレーが見られたのはとても収穫でした。

ただし、試合ではヘルプディフェンス相手に強引に行くだけでは通用しなかったので、

合わせやスペーシングが課題とは思いました。

 

質問なんですが、例えばトップからのドライブでヘルプが来たので

コーナーにパスをだしてフリーなのでシュートを打ちました。

シュート練習でその選手の0度からのフリーのシュート確率は30%くらいでした。

案の上、シュートを外してしまいカウンター速攻から失点しました。
攻撃自体は非のうちどころがないのですが、正直このシュートに期待できません。

私の悩みはシュート確率を上げさせるために出来ることと、このプレー自体の評価です。

 

シュートを打つな、ドライブいけとは言いたいですが、

中にビックマンがいたらシュートは正解ですし、

入らないなら打つなでは一生入らないとも思います。

 

ただし、チームの了解がはっきりしていない為、チームの雰囲気が悪いです。

ドライブしてあわよくば放ったゴール近くのシュートが入る可能性の方が高い気もします。

そのせいでディフェンスへの準備ができなく逆速攻もくらっているはずです。

現時点では私は積極的に打て、でも外したら一番にリバウンド、ディフェンスに戻れと濁しています。

 

生徒達も本気でやってるので、勝利を目指しています。それは本当に嬉しいです。

しかし、勝利を目指すうえで、時には残酷な選択(シュートを打つな、ドライブいけ)を

しなければいけないですか?

 

 

 

ありがとうございます。

そう言っていただけると恐縮です。

 

僕の知識、経験から○○さんに新しい気づきや悩みの解決策が

提供できればこれほど嬉しいことはありません。

 

 

21、いいですね。

 

個の力を伸ばすのにスゴイ良い練習だと思います。

 

バスケはまず個人技、1対1の力ありきなのでそこを徹底的に伸ばす。

 

 

個人技を高めるのと並行して、周りの選手と合わせることで

チームとしてより効果的な攻めができることを選手たちに気づかせてあげる。

 

他の多くの高校が相手がいない状態での練習やパターン化された動きを

繰り返す練習をしている中、21のような常に駆け引きや判断が必要とされる、試合で生きる練習をする。

 

そういうところから差はついていきますし、

強いチームと勝負できるようになります。

 

ぜひ、そのまま○○さん独自の視点や考え方を大切にして

練習方法やチームのシステムを作り上げていってください。

 

 

 

では、質問の回答です。

 

 

勝利を目指すうえで、時には残酷な選択

(シュートを打つな、ドライブいけ)をしなければいけないですか?

 

とのことですね。

 

 

僕であればこのような選手に対して次のようにアドバイスします。

 

「自分の力を一番発揮できるプレーは何だと思う?」

入る確率が低いエリアからシュートを打つ。

確かにフリーだから打ったらダメというわけじゃない。

 

 

でも今の自分にとってそれよりも、もっと相手の脅威になるプレーもある。

もっと得点、チームの攻めにつながる選択肢もある。

 

 

フリーになったからと言って絶対にその場で

シュートを打たないといけないわけじゃない。

 

スリーじゃなくてミドルレンジで待ってボールをもらって、

自分のシュートエリアで入るシュートを打つ。

 

ドリブルを1つ突いて、ゴールに少し近づいてシュートを打ってもいい。

 

ゴール下にスペースがあればドライブでフィニッシュしてもいいし、

そこからアシストをしてもいい。

 

 

 

選手に自分の力、能力が最大限発揮できる選択肢を気づかせるんです。

 

そうすればその選手はよりいいプレーができます。

 

 

シュートを打って外して逆速攻をくらう。

 

それで相手に点を入れられる、チームメイトが不満を持つことの悔しさや後悔、

苛立ちは本人がよくわかっているはず。

 

 

それを違うプレー、自分が勝てるプレーを選択することによって点がとれる、

アシストできる確率が上がる、逆速攻される確率が下がる。

 

その選手にとって、どっちがいいかって言ったらより結果に結びつくプレーのはずです。

 

勝ち負けなんか、周りなんかどうでもいい。

自分さえよければ、自分がやりたいプレーができれば

なんだっていいって考えてるなら話は別になってきますけど。

 

 

だから、あそこでシュートを打つのは間違いじゃない。

 

でももっと自分が勝てるプレーがある。

 

自分が勝てる、自分のストロングポイントで勝負すれば点がとれる、アシストが増える。

 

チームメイトにも評価される。

 

チームが勝つことにつながる。

 

 

 

要は選手にもっといい未来を見せるってことです。

 

 

他のプレーを、自分が結果が出せるプレーを選択することによって得られる未来と

自分が勝てない、弱点であるプレーを選択することによって得られる未来。

 

 

それを比べて示してあげる。

 

選手自身に気づかせるきっかけを与える。

 

それで選手自身に選択させる。

 

 

これは残酷な選択でもなんでもありません。

 

 

その気づきによってその選手のパフォーマンスは確実に上がるし、

チームへの貢献度も上がるからです。

 

 

もちろん一生シュートを打つなというわけでもないです。

 

選手が努力してシュートが入るようになれば、自由に打たせればいい。

 

一番大事なのは

 

「今の」自分にできる、一番結果に結びつくプレーの選択肢。

 

これを選手自身に気づかせてあげることです。

 

 

 

そして、その気づきを与えた上で選手にプレーの判断を任せる。

そうすれば選手は自然と自分に合った最善のプレーを選択するようになります。

 

 

 

NBA選手も自分が勝てるフィールドで戦っています。

 

例えばトニーパーカーなんかはあまりスリーを打ちませんよね。

 

 

フリーでもらってもスリーは打たず、ドライブする、ゴールへ近づいてミドルを打つ。

それで得点とアシストを量産します。

 

 

ロングレンジのシュートはチームメイトに託して、

自分が一番能力を発揮できるプレーに専念してきた。

 

それでチームを勝たせてきた。

 

自分の強みを最大限に生かせるプレーに集中しているからこそ、結果を出してきた。

 

 

そういう考え方をNBA選手とかを例に出して選手に伝えて気づかせるのもありだと思います。

 

シュートを打つな、ドライブしろ。

 

これでは選手からするとプレーを強制されているようで、いい気分もしないでしょう。

 

 

でも、

 

他のプレーを選択すればもっといいプレーができる。

もっとチームの勝利につながる。

コート上で今よりもいい結果がでる。

 

 

選手が自分自身でそれに気づけば、自然とプレーは変わるし、やる気も出ます。

 

 

今の判断は間違ってない。

 

でももっと自分の得点やアシスト、チームの勝ちにつながるプレーもある。

 

 

そういう指導だと、残酷という後ろめたさは感じることはないと思いますし、

 

選手も自分で気づきを得て主体的に今できる最善のプレーをするようになるので、伸びます。

 

 

繰り返しになりますが、

 

 

選手自身に気づかせる。

 

決して強制はしない。

ただ気づかせるだけで選手のプレーは変わる。

 

 

この気づかせるというのがシンプルですが、指導のあらゆる場面で

大事な要素だと個人的には思っています。