日本の育成年代におけるバスケ環境の大きな問題の1つ。
それが戦術至上主義の育成です。
指導者が勝つために選手に戦術やシステムを強制する。
個の力を伸ばすことを考えない。
これが日本のバスケのレベルが上がらない大きな原因の1つにもなっています。
戦術、システムとは「複数人の味方選手がフリーを作るために決めごとに従って動くこと」です。
動き方さえ理解できればあとはそれを反復するだけなので効果は比較的早く表れ、
個人技の差があまりない中学生までくらいの年代では、戦術やシステムを徹底しているチームが勝ちやすい。
実際、育成年代、ジュニアの世代では日本も世界に通用しているケースが多々あります。
しかし大人になると世界の強い国には全く歯が立ちません。
ここに戦術の限界があります。
NBAやプロの試合を見ているとわかるように、高いレベルになるほど、
完全なフリーを生み出せることはごく稀です。
ゴールに近づくほどディフェンスのプレッシャーは強くなり、ヘルプディフェンスも来て、
ディフェンスの人数は多くなります。
その中でシュートを打ちきるためには、相手がいてもシュートを打てる能力がなければいけません。
フリーでなくてもシュートを決める決定力、「個の力」が重要になってくる。
日本のバスケやサッカーを見ているとゴールから近くないアウトサイドや中盤のパス回しはできています。
ゴールから近くない場所だと相手のプレッシャーはそれほどキツくなく、練習通りの動きを
そのままできるからです。
ただゴール近くの密集エリアでのドリブル突破力やシュートの決定率。
これは世界の強豪国と比べると明らかに劣っている。
戦術やシステムをいくら磨いても個人にシュート力、ディフェンスを破る力がなければ
点は決められないということです。
日本はこれまで「個の力」から目を背け組織的、戦術にそって戦うことに重点をおいて
育成・指導が行われてきました。
戦術至上主義の育成です。
監督が選手を戦術やチームの約束事の型にはめ込む。
選手がそれに従わなければ怒る。
選手たちは個の力を伸ばすことができず、監督の、チームの奴隷ロボットのような状態で
バスケをやらされることが多い。
だから、大人の年代では世界で勝てない、日本全体のバスケレベルが上がらない。
これが日本の現実です。
でもアメリカの育成環境はそうじゃない。
アメリカではほとんどの選手にとってバスケは遊びからスタートします。
遊びだから、厳しい練習、小難しい戦術の練習なんかしません。
ひたすらストリートや施設の体育館でゲームをします。
バスケを楽しみます。
試合を楽しむ中で個人技を徹底的に磨く。
相手がいる中でプレーできる生きたスキルやテクニックを身に着ける。
圧倒的な個の力が身に付く。
そうやって個の力をつけた上手い選手だけが学校の代表チームに入る。
そこで勝つために戦術やシステムを学んでプレーすることを覚える。
またアメリカはシーズン制だからオフシーズンがあって、この期間はチームに縛られることもない。
その間はピックアップゲームとか地域で開かれている大会とかにも出ることができる。
自由にプレーできるから個人技を磨くことができる。
日本だったら育成年代はほとんどを部活で過ごすことになりますよね。
しかもそのチームに年がら年中拘束されながらバスケをすることになる。
勝つための戦術をなぞるバスケをすることしかできなくなる。
じゃあいつ個人技を磨くの?って話です。
アメリカは個の力と組織力。
これを両方十分に伸ばせる育成環境になっている。
逆に日本は戦術やシステムといった型にはまったバスケしかすることができない。
今のままじゃ日本のバスケが世界の強豪国と戦えるようになる日は何百年経っても来ないでしょう。
強豪国は選手をどう育成しているのか?
どんな指導方法をしているのか?
日本の環境と何が違うのか?
バスケをしている人がこういったことを学ぶ。
そこから上手くなるための正しい方法論を見極める。
そうやって草の根レベルから意識を変えていかない限り、日本の育成・指導環境は
絶対に変わっていきません。
日本の常識は海外の常識ではない。
いつまで日本の腐ったバスケ環境に選手の才能の芽が刈り取られていくんでしょうか?