結局バスケで最後にものをいうのは個人技、個の決定力です。
下手な選手が完璧にフォーメーションやシステムを覚えたところで上手い選手たちには勝てません。
ずば抜けた個人技を持った選手こそが、試合を支配できる。
そんな選手の前では、戦術もクソもない。
アイバーソン、コービー、レブロン、ウェストブルック。
彼らは独力で状況を打開し、チームを勝利に導く。
そんな圧倒的な個の力、決定力を身に着けるためにはどうすればいいのでしょうか?
個の力は指導できない
まず個の力、決定力は教えられて身につくものではありません。
NBAのスコアラーには様々なタイプがいて選手一人一人でそのプレースタイルは違ってきます。
ポストプレーが得意な選手。
ドライブでディフェンスを切り裂くスラッシャータイプ。
スクリーンを使ってフリーになりジャンプシュートを打つシュータータイプ。
似ているタイプの選手はいるかもしれませんが選手は一人一人、
得意なプレーをもっていてそれを軸に試合を支配します。
これは指導者がそのプレースタイルを教え込んだのではなく選手自身が実戦を繰り返し、
その中で自分に合っている点の取り方、得意なプレーを見つけ磨いてきたから。
NBA選手たちは優れたコーチに手取り足取り、1から10まで
どうプレーすればいいかを教えてもらったからNBA選手になれたのか?
答えがNOだということは簡単に分かりますよね?
彼らは子供のころからバスケに明け暮れ、そのなかで得意なプレー、スタイルを見つけてきた。
それを徹底的に磨いてきたから圧倒的な個の力を身に着けている。
個の力や決定力は教えることができる?
そんなことが可能だとしたら、世界にはプロレベルの
個人技を持った選手がゴロゴロ出てくるでしょう。
同じようなプレースタイルの選手が溢れかえっているでしょう。
しかし、現実はそうじゃありません。
決定力、個の力は決して教えられて身につくものではなく、
あくまで自分で見つけていくもの。
バスケを他の誰かから、教材から教えてもらおうなんて考えてちゃダメ。
自分で自分のスタイルを見つける、そこにプライドと自信を持て。
あなた自身のスタイル、スキルにプライドを持て。
周りの人間や指導者にどうこう言われても
「これが俺のプレーだ!」という気持ちを持ってください。
誰かが言っているコツとかテクニックではなく、
自らの経験からオリジナルのスタイル・プレーを確立してください。
俺は教わってないから上手くなれないんだ…と考えるような選手は
いつまでたっても上手くなれません。
もちろん、指導者や周囲の人間からのアドバイスや指摘が正しい、
それを取り入れればもっと良いプレーができると感じたのなら素直に耳を傾けるべき。
しかし、自分で振り返ってそのプレーが間違っていなかったと感じるなら。
自分のプレー、スタイルを貫き通せ。
スパーズの元ヘッドコーチ、ポポビッチとジノビリの間に次のようなエピソードがあります。
「デビューした頃のマヌは、私が不必要だと考えるプレイをやっていた。だがある日、彼は私のところにやってきてこう言ったんだ、『アイ・アム・マヌ。これが僕のやり方だ』。私はこう返答してやった、『わかったよ。ならば1試合につきリスキーなパスを1~2本ほど減らしてくれ。そうすれば、私もお前がやらかした時に小言を一つ二つ我慢するよ』とね。我々はそのようにして折り合いをつけた。それからというもの、私と彼はラブラブだよ」
ジノビリは「アイ・アム・マヌ」と自身のスタイルを曲げなかった。
私の好きなサッカー選手、イブラヒモビッチは次のような言葉を残しています。
『聞くが、聞かない』、これが俺の哲学だ。『監督に耳を傾けて多くを吸収して学ぶが、嫌なことには耳を貸さないで自分が信じることを貫き通す』、これが俺流だ。
また、当時所属していたバルセロナの監督のグアルディオラに向かってこう言いました。
あいつに向かって「この玉なし野郎!」と怒鳴りつけた。他にもひどい言葉を浴びせた。
そして最後のこう言ってやったよ。「モウリーニョの前じゃおもらしかよ。地獄に落ちちまえ!」
グアルディオラはイブラヒモビッチに彼が個性や力を発揮できないポジションやスタイルで
プレーさせようとしていました。自分の理想通りに動けない選手、指示に従わない選手を
許さず、矯正しようとしていた。
それに対してイブラヒモビッチはブチ切れた。彼はこうも語っています。
俺を買うということは、フェラーリを買うこと。フェラーリを運転するなら高級なガソリンをタンクに入れて高速をかっ飛ばすべきだ。が、グアルディオラはディーゼルで満タンにし、田舎道でスリップした。アイツはフィアットを買うべきだったな。
周囲の声に惑わされていては自分の得意なプレーや感性、感覚が磨かれない。
あなたの強みを100パーセント発揮することができない。
エゴイストになりましょう。
コービーはシュートを打ちすぎだと批判されることもありますが
それでもシュートを打ち続けることでNBAでも屈指のスコアラーになりチームを勝たせてきたのです。
ミスを恐れてフリーの味方にパスを出すことを繰り返す。
シュートを打たない。
1対1の勝負から逃げ続ける。
ひたすら周りの選手に合わせ、無難で安全なプレーを繰り返す。
個人技が磨かれるはずありません。
いくらでも代わりのきく、試合で必要とされない選手にしかなれません。
周りからなんと言われようが自分のプレーを貫く。
自分が正しいと思えば、曲げない。
あなたが磨き上げてきたオリジナルのスキル、スタイルに誇りを持て。
誰かと同じじゃなくあなた自身の個性を最大限に生かして唯一無二になれ。
逆に指導者は選手の個性や特性をしっかりと見極める指導をするべき。
確かにチームが勝つために選手に指摘やアドバイスをすることは重要でしょう。
しかし、それが選手の個性を殺していないか?
持ち味やクセに逆らった選手が表現できないプレーを強要していないか?
自分の頭の中にある理想に選手をはめ込もうとしすぎていないか?
そこを考慮せずにこれをやれ、これはするな、こう動け、このプレーをしろと言っていたら。
選手から地獄に落ちちまえ!と思われているかもしれません。
実戦に限りなく近い練習と自由にプレーできる環境
個の力を身に着けるために一番大事なのがこれです。
日本でバスケをしていると特に部活では3メンやらシュートドリルやら
実戦に限りなく遠い練習、試合を分解した練習を延々繰り返して。
練習の終盤にちょこっとゲームして終わりっていう
メニューを組んでいるチームも多いんじゃないでしょうか。
かと言って街の至るところにコートがあるわけでもなく、
気軽に5対5やピックアップゲームができる環境も少ない。
なぜ、日本の選手が海外の強豪国と比べて個の力・決定力がないのか?
それは試合の経験量が圧倒的に少ないから。
レブロンジェームズは自身のスキルをピックアップゲームで身につけたと言っています。
You know how we got better as kids? We played against older kids because we knew if we lost, we had to wait a long-ass time before we got back on the court…That was our motivation. That pushed us. That’s how we got better.
俺たちが子供の頃、どうやって上手くなったと思う?年上の子供達を相手にしてたんだ。負ければ、また長い時間待たなければいけない(ピックアップゲームは勝ち残りが原則)。それがモチベーションだったんだ。それに後押しされて、上手くなったんだ。AAU/ユーススポーツへの警報 by LeBron James|TMG athletics x Long Term Athlete Development
レブロンだけでなく他のNBA選手や海外のサッカー選手も
ストリートでのピックアップゲームに自らのルーツがあると語ることが多い。
僕の原点はフットサルに始まり、裸足でプレーするストリートサッカー。
これが今のプレースタイルにつながっている。
ネイマール
日本では育成年代で上手い下手に関わらず全ての選手に練習をさせて
選手が経験できる試合の量が少なすぎる。トーナメント方式がメインだから
弱小校の選手は特に経験できる試合の絶対数が少なくなる。
個の力、決定力は試合の中でこそ磨かれます。
敵と味方がいる状態でプレーするからこそ、ディフェンスのプレッシャーがある状態で
決めきるシュート、カットされないパス、取られないドリブルが身に付くし
味方とのコンビネーション、数ある選択肢の中から最適なプレーを判断する力が身に付く。
経験できる試合量が少ない、練習時間の大半に試合を分解した練習を費やす。
これでは一向に個のスキル、決定力は向上しません。
実際の試合の要素を排除した練習ばっかりやってると試合で良いプレーをするのは難しい。
いくらゴール前が無人の状況でシュートを打っても、
相手がいない状況で決められた動きのドライブを
繰り返し練習しても決定力が上がるはずがないんです。
練習は上手いけど、試合では下手な選手を量産しているのが日本のバスケの現実。
試合では必ず敵と味方がいて、敵との勝負に勝つ力や味方の動きに連携して
シュートを決めるために、シュートを決めさせないために最善のプレーを選ぶ力。
これこそが決定力、個の力。
サッカー王国、ブラジルでは子供たちは草サッカーでミニゲームをひたすら繰り返します。
必ず敵と味方がいる状況でプレーするから、個の力・決定力がどんどん磨かれていきます。
アメリカでもレブロンが言うようにピックアップゲームで選手は腕を磨く。
「ゴールキーパーとの一対一の回数。ブラジル30万回。日本5千回」
サッカー王国ブラジルに見る「決定力」育成法という本に書かれた
7歳から14歳までに子供が経験する1対1の回数。
あくまでザックリとした計算ではありますが日本とブラジルのサッカー選手の間には
これほどまでに決定力を上げるために必要な経験の量の差がある。
これはバスケにも同じように当てはまるでしょう。
試合、ピックアップゲームで徹底的に個の力を磨いているアメリカの子どもたちと
日本の子どもたちでは試合の中で勝負を仕掛ける回数、シュートを狙う回数に
圧倒的な量の差があることは想像に難くありません。
これだけ経験に差があれば日本から圧倒的な決定力を持った選手が現れるのは難しい。
日本の部活生の多くは意味の分からない、まったくもって楽しくない基礎練習を延々やらされますが
アメリカはいつでもストリートやジムでピックアップゲームができます。
そこでは試合がいつでもでき、自由にプレーできる環境なので
選手は自分の個の力・決定力を徹底的に磨くことができる。
決定力、個の力は試合を繰り返し自由にプレーするなかで鍛えられるものなんです。
今いるチームだと上手いチームメイトや指導者の指示にどうしても従わなければいけない、
試合の経験量を増やすことができないのなら他のチームや別の練習場所で
自由に試合がプレーできる環境にも身を置く。
やり方はいくらでもあるはずです。
周りの声に遠慮して、実戦からほど遠い練習をして上達の機会を失ってはいけません。
もし、あなたが決定力・個の力を身につけたいのなら。
自分でプレースタイル、スキルを見つけて磨き上げること。
俺のプレーはこうだ!というプライドを持ってそれを曲げないこと。
試合の経験量を徹底的に増やして、その中でスキルを身につけていくこと。
この3つをやり続けてみてください。
3か月後、半年後、1年後、3年後、5年後。
あなたの決定力、個の力は着実に伸びていき
ディフェンスのプレッシャーがあってもシュートを決めきる力。
カットされない、絶妙なタイミングとコースで味方の得点を演出するアシストパス。
激しいディフェンスにもボールを取られない、逆を突いて抜き去るドリブルスキル。
味方のプレーを邪魔しない、フリーになってボールを受けるオフボールのスキル。
できなかったプレーができるようになり、強みとなるプレーは更に磨かれ
個の力と決定力が上がり、バスケレベルが大きく上がっていることに気づくはずです。
